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『ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙』展

pe2s-isgi
1 時間前
読了時間: 3分

人類学者・川田順造と陶芸作家・小川待子のコレクション


2026年7月11日(土)から9月6日(日)まで、世田谷美術館で「ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙 人類学者・川田順造と陶芸作家・小川待子のコレクション」が開催されました。

1970年代、西アフリカのブルキナファソで調査を続けた人類学者・川田順造氏と、陶芸作家・小川待子氏。お二人が現地で出会い、収集してきた品々の中から、川田氏の『サバンナの博物誌』などの記述を手がかりに、約350点が紹介されました。



会場に入ってまず感じたのは、不思議なほどの心地よさでした。土、木、草、布、金属、そして皮。サバンナを思わせるアース・カラーが目にやさしく、ひとつひとつのものから静かに聞こえてくる物語が、耳にやさしい。その土地の空気や人々の暮らしを、身体ごと吸収していくような空間でした。

暮らしのための器、身体を飾るもの、祈りや儀礼にかかわるもの。自然から得られる素材に人の手が加わり、暮らしの中の「もの」になっていく。それらを見ながら感じたのは、自然からいただいたものを大切に受け取り、生かしていくような感覚でした。土から、木から、草から、そして動物からいただいたもの。その恵みへの感謝のようなものが、手仕事の中に静かに息づいているように感じられました。



展覧会図録に収められた川田氏の「雨」というエッセイも心に残りました。

雨を待つサバンナの夕空。乾季にサハラから吹くハルマッタンとは異なり、湿気を含んだ空は、沈む太陽の光の微細な移り変わりを映し出す。散らばった雲が刻々と色と形を変える光景を、川田氏は、「人間がまだ見たことのない神話の風景」と表現しています(展覧会図録『ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙』p.15)。空、雨、風、光、土、植物、動物、そして人間。展示された手仕事もまた、そうした大きな自然の営みの中から生まれてきたように思えました。

そして、この展覧会を特別なものにしているのが、アフリカを見つめた「ふたりの眼」です。図録の「マグレブからサバンナへ 小川待子へのインタビュー」では、自ら窯をゼロからつくり、釉薬も鉱物探しから始める小川氏の作家としてのあり方について、塚田美紀氏は「小川さんがそういうアーティストでなければ、(中略)川田先生の調査もまたべつのものになっていたのかもしれませんね。」と述べています(展覧会図録『ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙』p.232)人々の暮らしや社会を見つめる人類学者の眼と、素材に触れ、ものを生み出す陶芸家の眼。図録には、川田氏の著書に小川氏が添えたイラストも紹介されています。

同じ土地に立ちながら、それぞれの方法で見つめ、感じ、記録したアフリカ。その二つの眼差しが重なり合ったところに、このコレクションが生まれたのでしょう。

自然と人間、暮らしと手仕事。展示空間を歩いていると、そのすべてを包み込む大きなもの――Mother Natureの存在が、静かに心に染み込んでくる展覧会でした。

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