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アフリカ協会主催『世界一愉しいアフリカ講座』に参加して

  • pe2s-isgi
  • 8月24日
  • 読了時間: 3分

日本とアフリカの伝統楽器ジャンベと和太鼓の共演、平和への祈り


2025年7月27日、第9回『世界一愉しいアフリカ講座』(主催:アフリカ協会/会場:JICA地球ひろば)が開催されました。講師はジャンベ奏者のラティール・シー(Latyr Sy)氏。セネガル・ゴレ島で生まれ育ったシー氏は、自らの言葉で故郷の歴史を語り、和太鼓奏者・千代園剛氏との共演を披露しました。

シー氏は1995年に来日し、能楽囃子大倉流太鼓奏者で重要無形文化財総合指定保持者の大倉正之助氏と出会ったことを契機に、日本の伝統舞台での共演を重ねました。以来、日本とアフリカを結ぶ文化的架け橋を目指し、坂本龍一氏やヨーヨー・マ氏といった世界的音楽家との共演、さらにアフリカ開発会議記念晩餐会や長野オリンピックなど国際舞台での演奏も数多く行っています。

講演では、ユネスコ世界文化遺産に登録されているゴレ島の歴史が紹介されました。ゴレ島は人類史上最大の悲劇の一つとされる奴隷貿易の拠点であり、首都ダカールからフェリーで20分ほどの沖合に位置します。15世紀以降、ポルトガル、オランダ、さらにイギリスやフランスが利用し、1848年の奴隷制度廃止まで続きました。ネルソン・マンデラ氏が「しおきの部屋」に5分間滞在したこと、ヨハネ・パウロ2世が「忘れられたホロコースト」と表現したことなどが語られ、また1962年に奴隷収容所が博物館として開設され「Forgive but not forget(許す、しかし忘れない)」という理念が掲げられていることも紹介されました。

ゴレ島について語るラティール・シー氏
ゴレ島について語るラティール・シー氏

シー氏は「太鼓はコミュニケーションの道具。ゴレ島のメッセージを太鼓でつなぎたい。音楽に国境はなく、アフリカの平和は世界の平和につながる」と強調し、広島・長崎、ゴレ島、アウシュビッツを例に挙げながら、平和と文化的共通認識の重要性を訴えました。

当日、シー氏は水色系のセネガル伝統カフタンスーツ姿で登場。金色の装飾が施されたジャンベを手に、裸足で演奏する姿が印象的でした。薄緑の紐で編み込まれた美しいジャンベからは豊かな音色が響きわたり、能楽の小鼓との共演では、厳かな小鼓の音色にシー氏の歌声が重なり、能楽の掛け声「ヨーイ」を合図にリズムが加速。やがてジャンベと小鼓が一体となって力強い音のうねりを生み出し、再び「ヨーイ」で締めくくられました。さらに、5つの和太鼓との共演では、日本とアフリカの普遍的なリズムが共鳴し合い、会場全体を大きな感動で包み込みました。


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戦後80年という節目に、戦争の絶えない世界の現状を思いながら、音楽を通じて人間の喜びと平和への祈りに思いを馳せる貴重な時間となりました。まさに『世界一愉しいアフリカ講座』の名にふさわしい体験でした。


写真のご提供:アフリカ協会事務局

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