大英博物館では、2023年より、アフリカ全土の30の主要な画像とストーリーを紹介するデジタル「アフリカン・ロック・アート」展が開催されています。アルカディア基金の支援により、アフリカン・ロック・アート・トラスト(TARA)から提供されたアフリカ全土のロック・アートのデジタル写真約23,000点をカタログ化し、バーチャル・リアリティの体験ができるものです。この展覧会は、ナイジェリア、リビア、エチオピア、南アフリカなど、3万年にわたるロック・アートの歴史にまたがる展示で、多様なロック・アートが一堂に会する貴重な機会となっています。大英博物館「Unseen」シリーズの一環として、人類の起源と古代アートの美しさを探求しています。
その歴史的意義
このデジタル展示は、「はじめに」、「国別の探求」、「地域別の探求」、「テーマ別の探求」で構成されています。「はじめに」では、アフリカにおけるロック・アートの起源、年代、制作技法について解説し、様々な地域で発見された古代の芸術様式を紹介しています。科学的に年代測定された最古のロック・アートは、ナミビアのアポロ11洞窟で発見された約3万年前のものです。そこには動物を描いた石板があり、はっきりと種を特定できるものではありませんが、アフリカにおける具象芸術の始まりを示すものです。10万年前から6万年前にかけて、個人の装飾品や彫り物のデザインが出現したことは、アフリカ大陸における芸術の古代のルーツを物語っています。黄土に刻まれたクロスハッチ模様は、象徴的思考と言語の発達を示唆しています。アフリカのロック・アートにおける技法や主題の連続性は、その歴史的意義を強調します。
アフリカのロック・アートの年代測定は、一貫性を見つけることが困難となっています。年代よりも解釈を優先する研究もあり、現在進行中の研究技術の向上はその解決を助けることでしょう。ロック・アートは何千年も前から行われており、資源や技術に応じてさまざまな技法が用いられています。主題、年代、意味に重点を置きつつも、制作技法を研究することで、ロック・アートの制作方法についての知見が得られます。技術的には、ロック・アートは岩肌に刻まれたペトログリフ〈岩面彫刻〉とピクトグラフ(絵画)に分類されます。
テーマ別探求からの画像
「テーマ別探求」からの画像をここに紹介いたします。
戦士絵
左:ウォダベ・ゲレウォル美男コンテストの参加者 ©Dan Lundberg via Wikimedia Commons
右:4人の戦士絵 (イースター・エア山脈、ニジェール、2013年) ©TARA/David Coulson
幾何学的モチーフと家畜の焼印
マア族を表すと思われる白いシンボルデザインと家畜のブランド (ケニア、ライキピア、2013年) ©TARA/David Coulson
石に刻まれたリビコ・ベルベル文字
牛の近くに刻まれたリビコ・ベルベルの碑文(リビア、ワディ・マセンドゥス、2013年)©TARA/David Coulson
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